研究プロジェクト: 次世代不揮発性メモリRRAMのCMOSインテグレーション
不揮発性メモリは、電源がなくても情報を記憶しておくことができるメモリです。ですから、USBメモリやICカード(お財布携帯や電子マネー)には必ず必要となる集積回路です。携帯電話でワンセグが見られるようになり、さらに大容量の不揮発性メモリを搭載して、短時間の録画までできるようになってきました。PCも超軽量なハードディスクレスが一般化し始めています。デジカメもフィルムカメラに匹敵する高精細画像撮影や動画像記録までできるようになってきています。これらは、全て不揮発性メモリ技術の進歩の結果といえます。
さらに、高速動作と大容量化、無限に近い書換え回数を目指して、新しい記録原理を利用した、新型メモリの開発が世界中で活発化しています(※)。いまのところ、相変化メモリ(PRAM)、磁気抵抗メモリ(MRAM)、電界誘起抵抗変化メモリ(RRAM)の3種類が次世代メモリの最有力候補となっています。
MeRLは、世界に先駆けて相変化不揮発性メモリ(PRAM)の集積化に取り組んできました。相変化メモリは、低コスト・大容量化が可能なメモリで、既に幾つかのメーカから製品のサンプル出荷が始まっていますが、DRAMなどに比べると書き換え速度が少し遅いという難点があります。このため、PCのハードディスクを置き換えることはできますが、DRAMやシステムLSI内部のメモリを置き換えることができません。そこで、近年発見された、新しい高速不揮発性メモリRRAMを大手メーカと協力して開発しています。
金沢大学が研究用の回路設計を担当し、製造プロセスの開発や動作メカニズムの解明を企業や他大学、国の研究機関が担当している巨大なプロジェクトです。現在、このプロジェクトが世界の最先端を走っており、世界中の半導体メーカやマスコミが注目している研究テーマですので、開発ペースが速く、学生気分の人には辛いと思いますが、やりがいのあるテーマです。新4年生には、修士生と協力して、CMOS回路とRRAMの混載LSIや不揮発性FPGAなど、世界初のLSIを開発してもらおうと考えています。
※(解説) 現在の不揮発性メモリの主流は、フラッシュメモリという方式ですが、ランダムアクセスではないこと、書換え動作が遅いこと、書換え可能回数が少ないこと、CMOSとは異なる製造法であることから応用が限定されています。それに対して、全システムの記憶機能を置き換えることができるRRAMなどの高性能不揮発性メモリは、新型不揮発性メモリ(Emerging Nonvolatile Memory)と呼ばれています。
大容量不揮発性メモリの高性能化によって推進される技術分野
MeRLで開発した世界初のCMOS混載相変化メモリコア